延岡の百物語

其の十六 「赤い少女」


     

あれは、今から約○年前でした…
      
当時私は、某小売業に勤めておりました。
店舗は松山にあり、入社したてのルーキーだった私は、毎日朝から晩まで、へとへとになるまで働いておりました。

ある、蒸し暑い夏の日の事でしたが、いつものように閉店時間をむかえ、店舗入口のシャッターを降ろし、閉店作業をしていると、視界の端に、ふと人影が
   
『あぁ、まだお客様いらっしゃったんだ。しまったなぁ、シャッター確認せずに閉めてしまったよ』と、思い、
「いらっしゃいませ、こんばんは」
と、いつもの挨拶を投げ掛けました。
      
しかし、返事はありませんでした。
いえ、それどころか、先程視界に捉えたはずの人影も、むしろ気配さえありませんでした。
    
『ありゃ?もしかして店長か?』
そう思い、事務所に向かおうとした時でした。
      
「パタパタパタッ…」
      
誰かの足音が、
『えっ!?』
今の売り場には、私しかいないはず…
     
再び、「パタパタパタッ…」
    
明らかに誰か、いえ、ナニカがいる!
頭でそう考えた瞬間でした。
   
「クスクスッ…」
     
空耳ではありません、確かに、少女の笑い声がしたのです!
     
しかも、私は振り返りもしていないのに、彼女が私の背後にいるのがわかりました
      
何故か、見えるはずも無いのに、赤い服を着た、黒髪の少女とわかったのです
      
彼女は、じっと私を見ていました(その時、私は立ったまま金縛り状態だったので、振り返る事も出来なかったのですが、何故かそうわかりました)
      
5分、いや3分ぐらいだったのかもしれません
      
時を刻む時計の秒針が、やけに大きな音に聞こえました。
     
「お~い、がん君、終わったかい?」
      
店長が事務所から出て来ると同時に、金縛りは解け、彼女もいなくなってしまいました
     
後日、当時の店舗仲間、及び搬入業者さんから聞いたのですが、あの店舗では、度々そういった体験をする方がおり、(ある人は階段昇ってる時に、足首を掴まれ、滑り落ちたそうです)
特に夜中に搬入する業者さんの中では、行きたくないっ!!って位に評判だったそうです。
      
ちなみに皆さん口を揃えて、女の子だった!、とおっしゃいます
     
今は、別の業種の方の店舗になっていますが、前の道を通ると、まだ思い出します
      
金縛りにあっていた時に聞こえた言葉、「クスクスッ、こっちだよ…」


[記事公開日]2010/12/22
[最終更新日]2023/11/05


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